発達障害の壁を壊せ!「バリアブレイクスポーツ」特集Vol.2
2017.12.18
バリアブレイクスポーツ特集、第2弾!!! 今回は本番のイベントに取材!
11月26日、代々木公園で「ユニバーサルスポーツフェスタ」が開催されました。
スポーツの向き不向きに関わらず誰もが楽しめる競技「ゆるスポーツ」を提案する、ゆるスポーツYOUTHと発達障害の子も楽しめる競技、バリアブレイクスポーツを作る東京学芸大学鈴木聡ゼミによる、体験型スポーツイベントに行ってきました!
小学生にバリアブレイクスポーツの試作を体験してもらった様子をお伝えした前記事に引き続き、ここでは開発の過程も含め、イベント本番の様子もお伝えします!
(ゆるスポとバリアブレイクスポーツをもっと詳しく!おさらいはこちら第1弾記事から→http://youthstudio.jp/2017/11/24/bbs_01)
ペンギンになりきった障害物競走「ペンペコリンピック」

時につまずきながらゴールに向かう姿がかわいいこの競技。足を軽く縛った状態でゴールを目指し、スーパーボールを運んで行きます。

↑ペンギンポーズ?!
この競技を考えたチームの代表者 松田圭登さん(院1年)にお話を伺ってみました!(上写真の左端)
—完全オリジナルの競技ということですが、どのように作りましたか?
メンバーの7人で半年くらいかけて作りあげました。自閉症の子をターゲットにしながらも、誰がやっても楽しいスポーツというのが目標です。
—どんな点を工夫しましたか?
自閉症の子はこだわりが強い傾向があり、ここで跳ぶ、等といった行動に理由が必要ということが調べていく上で知ったんです。なので、「ここではサメを踏まないように跳ぶんだよ」「ここは仲間のペンギンがいるからよけながら歩くんだよ」といったストーリーを作りました。
個人プレイでありながら、チームのみんなで団結し盛り上がれるという スポーツの醍醐味を楽しめるこの競技。実際に体験してみた小学生からは ボールを落としてしまったりと、難しいところもあったけれど楽しかった という声がいくつもありました。
相手チームの洗濯ばさみを奪え!「ようかいRUNドリー」!

本イベントで最も走り回る競技がこちら!写真のように洗濯ばさみをたくさんつけた状態で、とりとられながら、とにかく走ります。へろへろになりながらも、楽しいとの感想も多数!

↑制作メンバーのみなさん
代表の金子翼さん(院1年)にお話を伺いました。(上写真の右下)
—洗濯ばさみを使った競技というのが斬新ですね。
学部の3年生から院の1年生のメンバーで考えました。衝動性のある子をメインにし、できるだけシンプルなスポーツということで出した鬼ごっこのアイデアを改良してできたスポーツです。そして改良していく上で、洗濯ばさみを使うものになりました。
—メンバーの皆様はもともとスポーツをされていたそうですが、このゆるスポにはどんな違いを感じますか?
スポーツというのはルールがたくさんあってこそだと思っていたので、ルールをできるだけ減らすというのが新鮮でした。
知的障害者の方も楽しむスポーツというものは考えたことがない中、みんなでたくさん調べ、実践もしながら新たなスポーツを開発する。それで世界が広がり、いい刺激になったと思います。またスポーツに個性に合った楽しみ方があると知ることができました!
シンプルな競技だからこそ、もっとみんなが楽しめるようこれからまた改良を続けるとのことです!
アシカになりきってボールを運ぶ、「はこびまショー」!

アシカになってショーを成功させるというストーリーで、箱に入ったボールを探し、頭に乗せゴールへ運びます。リレー形式で、先に3つ運べたチームの勝ちです。注目は手作りのかわいい帽子!!

はこびまショー制作チームの代表、糸日谷真央さん(院1年)に取材!(上写真)
—この競技はどんな過程を経て作りましたか?
メンバーはみんなスポーツ経験者で、理論的だったり弱肉強食だったりという固定観念がありました。なのでもっと視野を広げるようにし、主体的に取り組み自分たちで作った競技にできたと思います。
—これからの課題は何ですか?
この競技ではもどかしさを楽しむことはできますが、まだ発達障害のある子が有利になるというバリアブレイクまでは達していません。なので、みんなが楽しみつつ発達障害を持つ子が輝けるスポーツを作ることを目標にしています。
頭にボールを乗せて落とさないように移動するのは意外と難しいようで、参加者の皆さんが苦戦している様子も見られましたが、とても楽しそうでした!!
最後に、本イベント企画のゆるスポーツYOUTHの鍋島さんに取材しました!

—以前にもバリアブレイクスポーツのイベントを開催したと伺いましたが、今回のイベントで何か変わったところはありましたか?
教具(各競技で使った道具)が新しく変わっていたのを始め、見た目のクオリティも上がっていたと思います!
—バリアブレイクスポーツということで学芸大学と企画していましたが、これからの展望は何かありますか?
今回このようにコラボできたという縁を大切にしていきたいですね。また、スポーツを通じて外とつながることでプロジェクトに新しい方向性ができると思うので、色々なことに挑戦していきたいです!
まだマイナーではあるけれど、個性に合わせて誰もが本当に楽しめるバリアブレイクスポーツ。これこそがスポーツの新しい形と言えるはず。
発達障害の壁は破れる!スポーツの常識も、破れる!!!
【取材協力】
東京学芸大学 鈴木聡(すずきさとし) 研究室
この研究室では、体育科教育学を中心に、広く学校教育を研究対象にしています。教育心理学をベースに授業研究を行い、児童・生徒の授業におけるパフォーマンス分析、教師行動分析、教材開発をします。学校現場と連携し、「ライブの授業」からの学びを大切にしています。
■公式HP:http://www.u-gakugei.ac.jp/~satoshi/index.html
松田圭登さん(ペンペコリンピック代表/院1年)
糸日谷真央さん(はこびまショー代表/院1年)
金子翼さん(ようかいRUNドリー代表/院1年)
ゆるスポーツYOUTH
世界ゆるスポーツ協会内の大学生チーム「ゆるスポーツ YOUTH」。『Enjoy Difference』(人と人との違いを多様性として楽しもう)という理念のもと、日々ゆるスポーツを作る活動をしている。
■公式HP:http://yurusports.com/sports/youth
■Twitter:https://twitter.com/yurusportsyouth
■Facebook:https://www.facebook.com/yurusports.youth/
鍋島純一さん(ゆるスポーツYOUTHメンバー)
「ゆるスポ」に関する過去の記事はこちら:憧れのアリエルになれる!? 人魚バレー【ユースなう!Vol.65】