現役東大生・田中智大さん(20歳)< 前篇 >【その人、スキあり!】
2018.03.08
「スキ」を貫くってちょっとこわい…。そんなあるある、どうしたらよいものか。そこで、「スキ」を貫く若者からヒントを探る対談企画『その人、スキあり!』。インタビュアーにはシンガーソングライター・井上苑子さんをお迎えして、お届けいたします!
第13回目のゲストは、ミスター東大コンテスト2017準グランプリを皮切りに、世界をちょっとおもしろくするイノベーションを起こそうとしている、現役東大生の田中智大(たなか ともひろ)さん。前篇では、田中さんの「スキ」である「おもしろい」コトについてお聞きしました!
★前篇★「おもしろい」を追い求めて東大へ

井上苑子さん(以下、井上):同じ年で、東大生で。私の周りには東大を目指す!なんて人いなかったし、未知すぎてなんだか緊張しちゃいます(笑)。よろしくお願いします!
田中智大さん(以下、田中):いやいや緊張しないでください(笑)。僕、昔から井上さんのファンで。そんな憧れの人と対談、しかもインタビューされるなんてこれっぽっちも思ってませんでした…!今日はよろしくお願いします!
井上:では、早速なんですけど、田中さんは、どうして東大を目指そうと思ったんですか?
田中:いろいろあるけど、一番は「おもしろい」人が多そうだったからですかね。僕の将来の夢として、「おもしろい人と、おもしろいことをやって、世界を動かしたい」っていうのがあって。
井上:おもしろい…? 田中さんの考える「おもしろい」人ってなんですか?
田中:僕の思う「おもしろい」人は、「人と違うことをしている」人 ですね。日本という環境では、どうしても周りに流されて生きている人が多いと思うんです。だから、自分の意思で突き進んでいる人に魅力を感じます。
井上:確かに! 自分を持っている人ってステキですよね!
田中: 化学オリンピックの功績を引っさげて東大に推薦で入ってきた友人は、自己紹介が「好きなものはトウガラシの化学式です。」だったり。ちょっと偏っているけど、そういう人間に惹かれますね。
井上:確かに、「変な人=東大」みたいなイメージあるかも(笑)。なにか東大に入って面白かったエピソードはありますか?
田中:う〜ん、東大生なのに毎日飲みに行ったり、パーティしてる人が意外と多いってことですかね。東大生にも大学デビューがあるんだなっていう。逆に僕はあまり遊ばないので、そういう事実は新鮮だし、ちょっと羨ましく思います。
井上:わかる! 私も大学生なんですけど、全然遊べてないので、大学デビューにちょっと憧れます(笑)。
周囲の反対を押しのけての東大休学、感じた「違和感」

井上:ではなぜ、田中さんはそんな東大を二年次から休学しているんですか?
田中:それは「意外とおもしろい人が少ないな」と思ったからですね。
井上:あれ!? さっきと言ってることが違いますよね(笑)。
田中:東大は一学年1000人くらいいるんですけど、実はそのほとんどが首都圏の超進学校から流れで入ってきた人で構成されているんです。勉強はできるかもしれないけど、おもしろくない人ばっかりで。これに僕は強い違和感を感じて。東大の中では、自分の夢の実現は不可能だと思いました。
井上:そんな理由があったんですね! でも、休学するにあたって周囲から反対されませんでしたか? 私だったら、東大まで入ってもったいない!って思っちゃうかも。
田中:めちゃくちゃ反対されましたね(笑)。 親には家を追い出されたし、大人の方々にも事あるごとに言われます。
井上:家を追い出されたんですか!? そこまでして環境を変えたかったんですね。すごい意思の強さ…! では、休学して何をやっているんですか?
田中:東大発のベンチャー企業でフルタイムで働いていたんですけど、それが終わったので本格的に起業しようと思っています。今は、起業準備という名のニート期間です!大学も行ってないので。
井上:ニートって(笑)。1年間の会社員生活で学んだことってありますか?
田中:とにかく色々な人との出会いがあって、ビジネスの基本から厳しさまで多くのことを学びました。朝から晩まで一日中働いていたので、体力もついたかも。でも、仕事を辞めた直後は、貯金はあるけど、何も縛られるものがないし、何をしたらいいか分からなくなって。本当だったら、起業家は「自分で自分を律する」ことが必要なんですけど、僕にはそれができなくて。一日中、amazonのプライムビデオを観たりして、怠惰な生活を送っていました。もちろん、時には井上さんの「ナツコイ」を聴いたり(笑)。
井上:そんな〜! 恋した気分になりましたか!?(笑)。
田中:ニートの僕には辛い曲でしたね(笑)。でも、最近は起業のビジョンが少しずつ見えてきて立ち直ってきました。
「生きる意味」から考える、起業の必要性

井上:起業するのに必要なことってなんだと思いますか?
田中:まずは、「なぜ起業をしないといけないのか?」という明確な目的が必要だと思っています。その目的を考えるには、まず「生きる意味」を見つけないといけないな、と思っていて。
井上:生きる意味!?
田中: そう、生きる意味です。井上さんの生きる意味ってなんですか?
井上:そう言われると難しいですね…。でも、やっぱり歌うことですかね!
田中:さすが! こうやって井上さんは即答できるじゃないですか。でも、僕も含め「普通の人」は意外と答えられないんです。 僕も、「会社に勤めて、お金を貰って、家族を養って、老後を過ごす」ことが生きる意味だと思っていました。でも、本当にそうなのかな?って。そこからですね、生きる意味を考え出したのは。アインシュタインが「生きる目的など人間には分からない」って言ってて、「アインシュタインが分からないなら僕に分かるはずない!」って思ったりもしたけど(笑)。
井上:そりゃ分かるはずない!(笑)
田中:だけど、自問していくうちに「僕は誰かに生かされているし、誰かのために何かをするために生まれてきたんだ」って答えにたどり着いて。世界をちょっとおもしろくして、人々に価値を与えたいと思うようになりました。
井上:すごい壮大な夢! そんな田中さんは起業して、どんなおもしろいを実現したいと思ってるんですか?
田中:一つ考えているのは、VRやARなどの最先端技術の活用です。脳内に直接インプットして、デバイスを介さなくてもVRが体験できるようになったらおもしろいなって。
井上:えっ!? そんなことってできるんですか?
田中:人間の視覚や嗅覚、聴覚などを電気信号として脳に受信させることができれば、理論上は可能なんです。

井上:えーっ! すごい!
田中:もし実現できれば、世界はちょっと豊かになるし、おもしろくなると思うんですよね。でも、誰かがやらないとそんな社会は訪れないわけで。「誰もやらないなら僕が起業して実現させてやろう!」と思って。
井上:その目標の実現のために今やっていることって何ですか?
田中:2月から2〜3ヶ月ほどアメリカに留学して、IT企業のイノベーションを学んできます。
井上:えっ! なんでアメリカに!?
田中:日本はまだまだイノベーションが起こりづらい環境だと思うし、実際に起こっていないんです。また、東大って言っても、アメリカの名門大学の研究やその実績からするとだいぶ遅れています。アメリカには僕と同じ20歳でも、起業して成功している人はたくさんいるわけで。負けてられません。
井上:東大じゃ満足しないあたり、さすが世界を見据えてるだけありますね! それにしても行動力がスゴい…。そういえば、ツイッターで見たんですけど、インドに一人旅したんですよね?
田中:はい、行きました! でも、二度と行きたくない(笑)。
井上:えーっ! どうして!?
…と、前篇はここまで。
後篇では、インド放浪の末に学んだ価値観。そして、ミスター東大コンテスト2017の出場秘話や、インターネットの影響についてお聞きします! お楽しみに!

田中智大(たなかともひろ)
現役東大生 / ミスター東大2017準グランプリ
1997年 千葉県出身。興味本位でミスター東大コンテスト2017に出場。SNSで東大生のイメージを覆す攻めたキャラが話題となり準グランプリを受賞。
幼少期をルクセンブルクで過ごし、現役で東大に合格。しかし、入学半年で不登校になり、現在は金融系ベンチャーで長期インターンをしながら、世界を放浪中。夢は、イーロンマスクのような世界の根本的な課題に取り組む実業家となり、交通、医療、金融、教育など様々な分野で革命を起こすこと。
Twitter:@tomohirc

井上苑子(いのうえそのこ)
神戸出身の20歳シンガーソングライター。小6より作詞作曲と路上ライブを始め、高校入学と共に上京。
動画配信サービスのツイキャスで人気を集め、視聴者数が200万人を突破しメジャーデビュー。
1stシングル「だいすき。」はYouTubeで1000万再生を超え、女子中高生を中心にスマッシュヒット。
これまでのミュージックビデオの総再生回数は5000万回を突破。LINE MUSICなどの定額制音楽聴き放題サービスでは毎回1位を獲得するなど、SNS新世代のアーティストならではのヒットを生み出している。
昨年12月6日には2枚目のふるアルバム「JUKE BOX」をリリース。また、歌手としてだけでなく、映画・ドラマ・CMなどへもマルチに出演する次世代のシンガーソングライター。
■井上苑子 公式サイト/インフォメーション
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