布に恋する服飾学生!文化服装学院の卒業ファッションショーを取材!/後編【ユースなう!Vol.107-2】

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花粉でソワソワ、出会いと別れでソワソワするこの季節。今回は文化服装学院の「2019年度ファッション流通科卒業制作ファッションショー」を取材しました!前編よりもさらに細かいこだわりにスポットをあてた後編、スタートです!

※文化服装学院では新型コロナ感染症の影響より、2月26日以降の卒業イベントを中止しております。今回取材に伺った「2019年度ファッション流通科卒業制作ファッションショー」は2月25日に行われたものであり、消毒やマスク着用など新型コロナ感染症対策を行った上で実施されました。

前編の振り返り

前編では、卒ショーのトップである企画長の舘林さんのインタビューや卒ショーレポを行いました!後編では、照明パート長、アクセサリーパート長、フィッターパート長のインタビューをお届けします。
>>前編はこちら

卒ショーで各部署の長を担う学生4名


左からフィッターパート長・山口琴音さん、運営パート企画長・舘林生実さん、照明パート長・松橋麻穂さん、アクセサリーパート長・コウガイケンさん

 

シーンに合わせた光で、世界観を作る。~照明パート~


照明パート長 松橋 麻穂さん(リテールプランニングコース2年)

––––照明パートの役割を教えてください。

主役はあくまで衣装。私たちは舞台を照らす光で、モデルと衣装をよりよく見せる演出をしています。大小様々な照明器具を組み合わせて、世界観を作り上げます。

––––なるほど。その演出はどのように行うのですか?

シーンごとにテーマがあるので、それに合わせてどうすればいいか、とパートのみんなで話し合いつつ、やってみながら決めます。照明そのものの技術はこのショーに合わせて勉強するので、平日は21時まで練習しています。

––––予想以上にハードですね…。照明パートならではの楽しさはどんなところにあると思いますか?

ショーを通した時に、モデルや音楽などとタイミングまで全てそろった瞬間は格別です。この前のショーでたまたま照明をやった時に、それを知ってしまってハマりました。

照明パートのこだわりはこちら!

このシーン3は、王子の心象を表すかのようなダークな雰囲気。深みを出せるよう工夫し、照明パートのメンバーも気に入っているとのこと。重厚な音楽ともよく合い、誰もが舞台に夢中になる様子が伝わりました!

そしてシーン5は、アイドルのコンサートに来たような気分になれる演出。イメージカラーのブルーをふんだんに使い、このU2 の世界観を十分に伝えています。フィナーレにふさわしい盛り上がりを見せました!

試行錯誤し、舞台裏から細かくタイミングを見て光を操る。そんな照明パートは、舞台の世界観を作り上げる大きな存在でした!

 

ファッションをより魅力的に!~アクセサリーパート~


アクセサリーパート長 コウガイケンさん(スタイリストコース2年)

––––アクセサリーパートはどんな役割のパートですか?

服装以外のもの、例えばヘッドアクセ、カバン、くつなどを提案して、購入したり借りに行ったりして集めて、リメイクしたりするところです。衣服を華やかにして、コーディネートをより100%に近づける役割をしています。いわばショーをサポートする役割です。

––––アクセサリーパートの1番の見どころを教えてください。

えー!選べないです(笑)。 みんなが頑張って作ったので、全部が見どころです!

アクセパートのこだわりはこちら!


大人の子供服をコンセプトとした2シーンは可愛らしい服に目がいきがち。しかし! 足元にも注目。リボンやレース、クマなどがあしらわれています。これは全てアクセサリーパートの学生のリメイク作品です。くつを集めに集め、そこから選び抜き、さらに装飾をほどこす。学生の努力が足元からも感じられます。

このヘッドアクセはアクセサリーパート長自ら制作! 3種類のワイヤーと服の余った布を使用して、リハーサル前日の5時間で完成させたそうです。服をより華やかに演出します。

ポップでありながらもトゲのある世界観の4シーンの小物集めは大変だったそうです。「集めても何をつけるかを選ぶのが大変で…。」とも。細部にまでこだわりをもったアイテムが鮮やかなシーンをより鮮やかに仕上げています。

一度くつを集めてきてもサイズが合わず買い直したり、注文したはずのものが届かなかったり。たくさんのハプニングが起こっていたというアクセサリーパート。そんな中でも「パート員みんなが、がんばり屋で優秀でした!」と話すパート長の笑顔から、悔いなくやりきったことが伝わってきました。ファッションに華を添えるアクセサリー。とても輝いてみえました!

 

ショーの舞台裏を支えるのに欠かせない役割! 〜フィッターパート〜


フィッターパート長 山口琴音さん(スタイリストコース 2年)

––––フィッターとはどんな役割のパートですか?

主にモデルの衣装の着付けをしています。他にも衣装のアイロンがけをはじめとする衣装の管理も担当しています。

––––ショーでの衣装の着付けと普段の服の着付けの違いは何ですか?

普段の服と比べて、ショーの衣装はデザインが凝っていて普通に着せるのが難しいです。それと、ただ着付けるだけでなく、その衣装を制作した人のイメージ通りに着せるという点は大きく違うと思います。靴下の丈を全て揃えたり、リボンを均等に真っ直ぐに結んだり…普段の服ってそんな細かい所気にしないじゃないですか。それをショーでは完璧に綺麗に魅せられるようにします。ただ着つけるだけでなく、その衣装を制作した人のイメージ通りに着せるのがフィッターの仕事です!

––––「ショーの裏側は戦場だ!」という言葉を聞いたことがあるんですが、本当にそんな感じなんですか…?

そうですね…(笑)。短い時間で着替えないといけないので、バタバタで慌ただしいです。モデルを私たちフィッターもお互い急いでいると雑になりがちなので、フィッターが落ち着いて正確に着せてあげるということが大事です。フィッターの鉄則は“早く、丁寧に、正確に!”なんです。

––––フィッターの練習はいつされているんですか?

衣装の直しとかがギリギリまであるので、リハーサルの着あり練習まで全ての衣装の練習ができないんです。そこでどのくらいの速さで着替えさせるか感覚を掴んでいます。

––––フィッターとしてのやり甲斐は何ですか?

やっぱり限られた時間の中で、素早く綺麗に着せつけられた時ですかね。あとはモデルさんに「ありがとう!」という一言をもらえた時です!

フィッターパートのこだわりはこちら!

難しい衣装をただ着せるだけでなく、限られた時間の中で“早く、丁寧に、正確”にという意識を持って舞台裏でフィッターは活躍していました。フィッターは着つける時は衣装が汚れないようにマスク着用義務らしいです! 衣装とモデルさん、そしてショーに対して、熱い想いを持って支えてくれる重要な役割です。

WEGOの服をリメイクしたU2はデザインが複雑で、確かにこの服を限られた時間で着せるのは難しそうでした。フィッターパートの腕で服のデザインが際立つ、迫力のあるU2のステージが完成しています。

限られた時間と人の中でいかに効率よく綺麗に着せられるかが求められるフィッターはショーを作る上で欠かせないパートでした!

今は全くの無名でも、いつかは何者かになってやる。後編でお話を伺った3名をはじめ我々が目にしたすべての学生が、このような野心をもって卒ショーに取り組んでいました。運営のトップである企画長の舘林さんは、「布に恋してる、布がないと生きていけない。」と微笑みながら語っていましたが、「○○がないと生きていけない。」と言い切れる若者ってそうそういないと思います。私たちも自分にとっての○○を探しに、もっと前のめりになって生きてみよう!
■取材協力
文化服装学院
HP:https://www.bunka-fc.ac.jp/